犬の膿皮症とは
犬が引き起こす皮膚病のうち、細菌感染が原因となって発症する病名に、膿皮症(のうひしょう)があります。
膿皮症は、もともと皮膚や粘膜に存在している黄色ブドウ球菌によって引き起こされる、皮膚の細菌感染症です。
皮膚に黄色い膿を含んだ湿疹やかさぶたができるなど、化膿性の病巣が現われる事から、そのような病名で呼ばれています。
その原因菌である黄色ブドウ球菌は、黄色い色素を出す性質があり、ブドウのふさのように、球体がいくつも集まった形状をしている事から、そのような名前で呼ばれています。
皮膚で過剰に繁殖すると、エンテロトキシンという毒素を作り出すため、アトピー性皮膚炎などのアレルギー性皮膚炎を誘発したり、皮膚病の悪化を招く事が知られています。
黄色ブドウ球菌は、健康な人や犬にも存在している一般的な常在菌です。
通常であれば、皮膚に存在している様々な種類の常在菌が、それぞれの均衡を保ちながらバランスよく共生関係にあるため、それほど過剰に繁殖する事はありません。
また、皮膚の新陳代謝や皮膚表面の皮脂膜などの自浄作用によって、急激に繁殖する事もなく、皮膚が正常な状態に保たれています。
人の皮膚は弱酸性ですので、細菌が繁殖しにくくなっており、また皮膚の角質層も厚いために、皮膚病が起こりくくなっていますが、犬の皮膚は弱アルカリ性ですので、細菌が繁殖しやすく、人に比べると角質層も大変薄いため、常在菌の影響を受けやすい傾向にあります。
そのため、湿度も気温も高くなり、じめじめと蒸し暑くなる春先から夏場にかけた季節になると、膿皮症を発症する犬が多くなります。